« Befreit(解き放たれた心) | メイン | 台風と地震 »

東京オペラシティでのリサイタル 追加公演


皆さまのおかげで2公演とも無事に終えることができました。
昨日も満員のお客様の温かい拍手に助けられて、胸いっぱいのコンサートとなりました。
5日前に同じホールで歌わせて頂いた甲斐もあって、よりホールの響きを楽しむ事も出来ました。皆さまのコメントにあるように、本当に素晴らしいホールです。
お客様も演奏者も幸せにしてくれるのですから!


昨日は所々のどの調子がいつもと違うなぁなどと思って、曲に影響しないようにと、より冷静に、発声を考える場面もありました。なので自分自身は先日の方がのびのびと歌えていたのではと思っていたのですが、両日を聴いてくださった方は、昨日の方が良かったと仰るので、(アージュが見守っていてくれたのかもしれませんが)冷静にジャッジしながら歌えている時の方が、より良い演奏になるのですね。本当に歌は奥が深いです。


昨日のプログラムは前半は(愛と)死がテーマのもので、私の身近にも最愛の人を亡くした方が多くいらっしゃるし、いつも感慨深く、また、歌うたびにもっと深い答えはないものかと、表現探求意欲も湧き上がります。


マタイやヨハネなどバッハの作品は、何の罪も無いイエスが私たちのへの愛の為に亡くなるという、聖書の内容に沿った場面で、キリスト教徒にとってはとても重い内容ですし、Befreitは前述の通りで最愛の人を見送る思いを歌ったもの、4つの最後の歌はシュトラウスが80歳を過ぎて書いた作品で、街や劇場などといった文化遺産が戦争で無惨に破壊され、失望し、そして自分の死を予感した彼がすべてのものの終焉を意識させられる4つの詞をもとに書き上げました。


人生にも四季があり、青春と言われる春、そして活力や夢にあふれる夏は短く感じられる通り、きっとそれが自然の摂理で、必ず長い冬があって、それを耐え忍ぶ力を蓄えるものが、春を味わうことができるようになっているのでしょう。


3曲目の眠りにつく時は「もう私は昼の明るさに疲れ、星の瞬く夜の訪れを心から憧れ求めている。手よ、すべての仕事を捨て、額よ、すべての思考を忘れるのだ。今の私の願いはひたすらまどろみにつく事なのだ。(と歌い世にも美しい間奏が入ります)そうすれば魂は何にも縛られることなく、自由に羽ばたくだろう。(余談ですが、この羽ばたくというfluegen という言葉にシュトラウスがppピアニッシモをつけているところが、神がかって素晴らしいです)、夜の魅惑に溢れた世界を求めて、今までより深く、何千倍も生きるために(もう一つ余談ですが、死んだあとには魂が残り、永遠に生き続けるという考え方があります。この何千倍も深く生きるという言葉が、死というものをただの恐怖ではなく、この先は魂は自由に永遠に生き続けるのだとtief und tausendfach(深く、何千倍も)と長く感動的なフレーズで表現し、zu leben(生きるために)と世にも美しく、そして優しく終わリを告げて、私たちを悟らさせるかのようです)」


死は本当に身近に自身に感じるときにはとても恐ろしく、苦しいものだろうと想像します。
命ある限り、ほとんどの場合は死に直面すると絶望し、もっと生きたいと願い、死ぬ瞬間よりも、死に直面して死を意識している時間というものが辛いのではないかと思われます。


4曲目の夕映えの時は、長い間人生を共に歩んだものの歌です。「私たちは喜びにつけ悲しみにつけ、手に手を取って歩んできた。歩んだ果てに今穏やかな丘の上で休んでいる。既に辺りは暗くなっていた。2羽のひばりがまだ空高く夢見るようにさえずっている(余談ですが、このひばりはこの2人の夢や、希望の象徴でもあると思われます)。さぁこっちへおいで、鳥はそのままにして。間もなく眠りの時が来ても、私たちは孤独の中で、道に迷わずにすむように。あぁ広大で穏やかな平和よ。この深い夕映えに包まれて、こんなにも歩み疲れた私たち、この疲れは死に似てはいないだろうか。」(余談ですが、伴奏のトリルの音がひばりのさえずりを現し、天国から差す光のようにきらきらと輝きます。)
以前に素晴らしいコメントを頂きましたが、この最後の ist dies etwa der Tod(この疲れは死に似てはいないだろうか)の歌い方が、いつもいつも最後の最後までどれが本当の答えなのかと、迷うところです。すべての人たちに感謝を捧げて、安らかに死を受け入れ、そう表現するのか、やはり人は死の恐怖を感じて穏やかになろうと思っても、最後まで苦しむのか。。。。。
私は最近アージュと最後の時を迎えて、もう目も定まらないのに、そんな力も残っているはずがないのに、私の方を一生懸命見ようとして、最後にうなるように、何かを訴えるように逝ったのを見て、命の切れる瞬間というのは肉体的には強い力が現れるものなのだと思い知らされました。命が断ち切られるのですから、そんな簡単なことではないのですね。
そんなことを色々考えて、最後のTodのTを歌いました。
でももし私なら、最後を迎える時、きっと恐怖に押しつぶされそうになっても、私に関わってくださったたくさんの方や、動物を思い起こして感謝を捧げたいと、-odと延ばすところは、そんな思いを乗せようと歌いました。
これからもずっと歌っていきたい、本当に素晴らしい曲です。
歌うたびに試行錯誤しながら、少しずつ発見もあり、進歩し、成長できるように、そして、この曲の本当の答えに近づいて行ければと思っています。
長々と重苦しい内容で失礼いたしました。


プログラムの後半は、この突き詰めた思いを、花火のように舞い上がらせる、華やかな曲を添えました。(ちょっとはしゃぎ過ぎたと自己反省していますが。。。)華やかな楽しい曲も、これからも取り上げますので、今後も応援頂ければ幸いです。
ご来場頂いた皆さま、スタッフの皆さまも含めまして、本当に心から御礼申し上げます。

Trackback - トラックバック -

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.makimori.com/mt423/mt-tb-090303.cgi/126

この一覧は、次のエントリーを参照しています: 東京オペラシティでのリサイタル 追加公演:

» メタモルフォーゼン、オーボエ協奏曲、4つの最後の歌 送信元 よねぴぃの心にうつりゆくよしなし事
 これはよねぴぃにとって宝物のようなCD。  とにかく折に触れてよく聴く。何度聴いても飽きない。  R.シュトラウス最晩年の傑作群である。 ... [詳しくはこちら]

Comment - コメント -(17)

オペラシティでの追加公演、森さんの深い解釈を、あらためて拝見してから思い浮かべると、わたくしも深い余韻として前半のプログラムを思い起こすことができます。
わたくしは、実は森さんの歌声を耳にして声楽の勉強を始めました。
世の中に無数に存在する歌に、いろいろな意味で偶然出あい、それについての解釈を深めてゆけることにとても幸せを感じています。
 プログラム内ではございませんでしたが、アンコールのアヴェ・マリアも、深い感動がありとても印象的でした。
 これからも、たくさんのエネルギーをいただきに参ります。

PS・・はしゃいだと仰った後半部分もとても好きです。華やかな衣装とも相成って、ほんとうにお花のようでした♪

mio:

4日の公演に伺いました。ずっと前から森さんの大ファンで、演奏会に行ける日を夢見ていました。
私は今大学で音楽の勉強をしていますが、なかなか思うように勉強が進みません。素晴らしい環境や先生方に恵まれているのに、自律神経失調症のせいもあって身体がついていきません。自分のペースでやればいいんだ、と自分に言い聞かせようとしますが、今の自分に納得できていないのが事実です。
そんな中、森さんのリサイタルに伺いました。プログラムを見て息が止まる思いでした。一曲目、私の大好きな大好きなピエ・イエズ。この曲は何か辛いことにぶつかった時に必ず聴き、口ずさむ曲です。私にとってとても大切な曲です。森さんの歌声が響き始め、歌詞も心に響き、涙が止まりませんでした。森さんの歌は様々なことに焦っている自分を落ち着かせ、安心させてくれました。ピエ・イエズが終わった瞬間からもうすでに森さんへの感謝の気持ちでいっぱいでした。もちろん他の曲も素晴らしかったです。後半の「こうもり」からの2曲は本当に楽しめましたし(はしゃぎすぎじゃないですよ!)、森さんの演技力のレベルの高さも垣間見えました。アンコールのアヴェ・マリアで祈りながら歌う森さんの姿に心を打たれ、聖書をもう一度勉強し直しています。


今、私の心にはここに書ききれないほどの感動と感謝があります。森さんの歌声は世界の宝物だと思います。これからも頑張ってください。
心からの感謝を込めて。

NHKのトップランナーで森さんが登場して依頼、森さんの大ファンになりました。6月29日、7月4日共にコンサートを聴かせていただきました。何れも深い感動に包まれ感謝の気持ちでいっぱいになりました。私も今練習しているシューマンのミルテの花を一曲、一曲深く解釈しながら仕上げていこうと、歌熱が上がってきました。毎日の会社生活においても回りの人たちが気持ちよく仕事ができるように私ができるせいいっぱいのことをやっていこう、そして、自分も輝いていこうという気持ちがわいてきて、日々自分の心が清らかになっていくのを感じています。「森さん効果」絶大です♪(笑)ブログにもコンサートのことを書かせていただきました!これからもずっと応援しています。次回のコンサートもとても楽しみです。

trois:

オペラと出会ったきっかけがドラマティックなイタリアオペラでしたので、
あまり宗教的な曲などを聴くことも無く、
どちらかというととっつきにくいイメージでした。
でも今回、麻季さんの歌を聴かせて頂いて、
こんなにもすばらしい力があるんだなぁと感動しています。
1曲目のピエ・イエズでは目の前で歌っているはずなのに
天から降り注ぐ声にびっくりしました。
(オペラシティも初めてでしたので・・)
そして、素敵なドレスや表情なども見ていたいのに、
不思議と脳裏に入り込む声を堪能するために不覚にも
目を瞑って聴きこんでしまいました。
後半では、とても楽しいオペラも堪能させて頂き、
全く違う世界を一度に味わえて素晴らしいプログラムだなと
思いました。
歌や音楽の事等専門的なことはよく解りませんが、
とても幸せな気持ちになれました。
ありがとうございました。

それと、2枚目の薄いグリーンのドレス、とても素敵で
もっと見ていたいくらいでした。
とても綺麗な色にプリーツの生地・・素敵でした!
ドレスや髪型なども実は楽しみです♪

これからも応援しています。


まゆ:

オペラシティでの公演、両方ともとても素晴らしかったです。たくさんの感動を頂きましたが、何より自分が生かされていることの喜び、麻季姫と出会えた喜びで胸がいっぱいです。
「死」はとても難しいテーマですが、演奏を聴いていて、どんどん自分が解放されていくような、無垢になっていくような感じがしました。死は真っ暗で恐ろしいものなのではなくて、真新しい自分にかえっていくものなのではないか。と感じました(解釈が違っていたらごめんなさい)
後半は大好きなアデーレ。いつも以上に元気な感じはしましたが、前半とはまた違った面が見られて嬉しかったです。
追加公演ではカメラが数台入っていたようでしたが、録画されていたのでしょうか?もしいつか見られることがあるのなら、嬉しいなあと思います。
6月7月はたくさん公演がありましたがどうぞお疲れが出ませんように。お体を大切になさってください。また演奏会に足をはこびます。
ありがとうございました。

森さんのコンサートを初めて聴きましたが、結果は期待通りというより、期待を上回る満足感に浸れました。張りのある伸びやかな声は、やはりコンサートでなければ得られません。森さんは後半はしゃぎ過ぎかなと書かれていましたが、そんなことはなかったと思います。森さんが他の歌手と違うところは、歌の上手さに加え、歌を聴衆と一緒に楽しもうという姿勢がにじみ出ているところではないかと思います。気取らない人間性も素晴らしい。あんなにあたたかい、何回も続くアンコールの拍手はあまり聴いたことがありません。森さんの思いが聴衆に十分に伝わったからだと思います。

わし:

わしと申します。
麻季さんから、4つの最後の歌の解題がありました。
CDのジャケットやコンサートのプログラムには、評論家というのか、愛好家というのか、よくは存じませんが、ご自身では歌わない方の書かれた解題、解説が掲載されています。それはそれとして、ふーん、なるほどと思いながら読むわけですが、当ブログでは、麻季さんご自身が、歌に込めた思いを綴られる。歌い手さんご自身の解題は、さすがに説得力があります。
それにつけても思うのは、伊語でも独語でも仏語でも、原語で歌われる歌の本当の奥深さを味わうことの難しさです。対訳がありますから、おおよその意味は理解しつつ聴くことはできますが、それでどこまで作者の深奥に迫って味わえるのか、我ながら、いささか心もとなさを感じざるを得ません。
小生の世代は、70年代前後のフォークやニューミュージックへの思い入れが強い世代ですが、曲への思いと同時に、詞への強い共感があればこそ、いまだに当時の歌への思い入れを忘れられずにいるのです。
麻季さんは、4つの最後の歌を、詞への深い共感とともに歌われる。だからこそ、聴く人は、そこに、単なる美しい音色以上のものを感じ取り、感動を覚えるのでしょう。日本人が日本語の歌を聴くように、外国語で歌われる曲も、聴きながら同時にその意味するところを理解できれば、その感動は、より根源的なものになるのでしょうね。
その点、明治の人たちは、西洋の歌を、見事な日本語訳に移し替えました。4つの最後の歌を、堀内敬三や近藤朔風が訳したら、どんな風になったのか、ぜひ試してもらいたかったところです。
ところで、<長々と重苦しい内容で失礼いたしました>。麻季さんのこのひと言に、声楽家森麻季の本質が表れていると、小生は感じました。
軽やかに澄み切った美声も、思わず聞き惚れる超絶技巧も、美しい容姿も、豊かな表情も、華やかな装いも、すべて麻季さんの重要な一部ですが、 きょうは、いささか長くなりました。ご無礼。

meg:

初めまして(*^_^*)
私ゎ22歳の社会人です。4日の日の東京オペラシティの公演に行かせて頂きました。母が最近テレビで森麻希さんを拝見して、ファンになってしまぃ、とても素敵なオペラ歌手の人がぃるの!!と話を聞ぃてチケットを早速買って初めてオペラとゅぅ音楽を母と聞きました♪最初ゎ、正直『オペラかぁ(´A`)』とゅぅ気持ちでした。でも会場となったオペラシティがとても素敵な会場で、感動して興奮しました(笑)木の暖かさとゅぅかうまく表現できませんが、母も同じく感動してぃました☆コンサートの前半ゎ、母ゎとても嬉しそぅに聞ぃてぃました(^_^)v私ゎ目を閉じて聞ぃてぃたらぁまりの森麻希の声の気持ち良さに眠ってしまぃましたすみません(>_ ぉ体に気をつけて、これからも頑張って下さぃ!!応援してぃます(^O^)/~~ see you !

まさ:

 オペラシティでのリサイタル,やはり素晴らしかったですね.今回,初めて会場に参りましたので,大分長くなりますが感想等,述べさせて下さい.
 初めて登場された時,まず,ご容姿の美しさに少したじろいでしまいました.
 麻季さんのお声は僣越ながら声量がおありの方ではないので,この広いコンサートホールで大丈夫なのかなという不安がありましたが,一曲目でそれは払拭されました.私は一階の中央列付近の端の方にいたのですが,透き通った美しいお声が,全体へよく届いていたと思います.こちらからは細部もよく把握できました.
 前列に座高の高い方がいらして,見聞きする態勢が十分できないまま始まったのが残念でした^^.麻季さんを両の眼でしっかりと見,対面するようにして,お聴きしたかったのですが... 麻季さんの歌唱力については,改めて申し上げることもないと思います.堪能させて頂きました.以下,僣越かつ稚拙ながら幾つか感想を述べさせて頂きたいと思います.
 マタイ受難曲は,カール・リヒターの1958年版(旧録音)を持っています(ソプラノはI・ゼーフリート).第58曲(Aus Liebe)のソプラノアリアは,第47曲(Erbarme dich)のアルトアリアとともにマタイの重要な2つのアリアだと思います.山の自然に例えて言えば,第58曲は山の頂き,第47曲は林の窪地にある池と言ったらいいでしょうか.第47曲は窪地の池といっても,ありきたりのものでないことはご承知の通りです.もちろん,コラールも素晴らしく,信仰の上でも重要なメッセージが含まれています.
 さて,第58曲の歌詞は次の通りです.
a) Aus Liebe will mein Heiland sterben,
b) Von einer Sünde weiß er nichts,
c) Daß daß ewige Verderben
d) Und die Strafe des Gerichts
e) Nicht auf meiner Seele bliebe.
歌詞は aabb cde aabb と進みますが,この曲はいきなりクライマックスから入ります.ちょうど,山の頂きにすっと降り立つといった感じです.曲の冒頭を同音程のスタッカートでインパクトあるものにした交響曲は幾つかありますが,レガートでいきなりクライマックス,これもバッハのすごいところでしょう(もちろん,導入部にあたる第57曲のソプラノによるレチタティーヴォ・アコンパニャートはありますが).ゼーフリートは 冒頭の"Aus" をmfで入っているように思います. 7/4の森さんの場合は, p ないしppからクレッシェンドされてたと思います. 全曲の中で歌うのと,単独で歌うのでは,気持ちの高揚のし方も違うのかもしれませんが,いきなり,"Aus Liebe" と来るところが,柔らかい衝撃というか,ドキッとして或いはハッとして,気付かされ,心動かされます.それから c,d,e では 初めの単語は弱い方が良く,Undが強くて平坦な感じがしました.この und は重要な単語である Verderben と Strafe を繫ぐ単なる接続詞にすぎず,抑えた方が減り張りがあると思います(聞き間違えていたら御免なさい).第58曲はマタイの全アリアの中で,通奏低音の無いただ一つのものであり(吉田秀和氏の解説による),また,十字架の要諦を言い表したただ一つのものです.それだけ,高揚感とメッセージ性が強いものだと思います.
 第58曲の和訳をこのコメントを見られる方のために示します.
「 愛ゆえにわが救い主は死にたもう.
 なに一つ罪を知らないお方なのに.
 それは,永遠の滅びと審きの刑罰が
 我が魂にふりかからないようにするため.」
某盤に杉山好先生の訳がありますが,あまりに仰々しく古めかしいので,意味を伝えることを主眼に直訳風にしました. 杉山好氏は私が大学時代に第二外国語である独語を教わった先生で,授業中に頂いた言葉を導きとして十字架を知り,クリスチャンとなった縁のある方です.
 次に,R・シュトラウスの Befreit ですが,ブログに掲載された和訳を事前に拝見してました.終わりの方は迫力がありました.「こうもり」の2曲では,扇子を使ったしぐさも楽しかったです.やはり森さんはオペラ歌手なのですね(当たり前です!).浜辺の歌では,率直に申し上げると,"はまべ"の"べ"があまりきれいに聞こえませんでした.それが正しい日本語の発音かもしれませんが,なにか突出していたように感じました.
 以上,僣越かつ稚拙な感想を長文にて失礼致しました.
 さて,天使の糧はアンコールでは在りませんでしたね.リサイタルの前夜には,お決めになったかと思いましたが... アンコールが終わってから客席で写真撮影に関するものと思われるトラブルがありました.私には神の憤りの現れであるように感じました.天使の糧に関しては私にも責任があります.麻季さんの6/17のログ(日記)に対する投稿で,4行の短い詩を載せましたが,不適切でした.この詩は14日にはできていたのですが,天は神の御座であり,相応しくないと思い,伏せておりました.しかし,17日の麻季さんのログを見て,眼をつぶり過去の記憶にのみすがるのは決して好ましくないと思い,掲載致しました.このログを読んだ時,どう声をおかけしてよいか,戸惑いました.私は,この時,人為的ではなく,思い出や記憶が自然に淘汰されるのが一番良いと思ったのですが,デリケートな心の部分に直接触れるには,それこそ apprivoiserされておらず,また,どうしてよいかも分からず,眼を外部に向けてもらうため,また,猫の名前からしてもこれを掲載しました.しかし,この詩自体がいわば冒涜的で,また,麻季さんの悲しみを癒せるものでなかったかもしれません.また,この書き込みから他の方の書き込みを誘発し,結局天使の糧がプログラムから無くなった懸念があります.この4行詩は撤回致します.誠に済みませんでした.お赦しください.
 現在,とりあえず YouTubeで Panis Angelicus を聴いてます.やはりこの曲のもつ力はすごい.なにものにも替えがたい.
 それから,このログに書かれた "tief und tausendfach zu leben" ですが, "魂が深みを増して,これまでの千倍の長きにわたり(即ち永遠に)生きる" という意味だと思います."何千倍も深く"とすると,深さが何千倍と捉えられかねません.(lieben は愛する,麻季さんらしい可愛らしい誤字ですね!)
 ヘッセは,私の好きな詩人の一人です.信仰を持たない場合は第3曲や第4曲に飛びつくと思いますが,現在,私にはキリストがいます.クリスチャンであり,腐敗した教会を批判するとともに,実存哲学の緒を開いたキルケゴールは,路上で倒れ,その後病院のベッドで亡くなりましたが,その顔は微笑みを湛えていました.主とその御国を見ていたと思います.死を超えて生きる(永遠の生命に入る)一つの様はこのようであると思います.私もそうであったらと思います.
 これから,宗教曲のレコーディングがあると思います.天候も不順のおり,ご健康には十分お気をつけ下さい.
 主のお導きと恵みのありますように.

猿渡優子:

書き込みが遅くなってしまいましたが、先月の北九州公演に行ってまいりました。
2週間も過ぎようとしていますが、素晴らしかった時間に、今思い出しても胸がいっぱいになります。
森さんと山岸さんのデリカシーのある演奏に、それぞれの曲の時代や景色まで見えてくるようでした。
4つの最後の歌の解釈がありましたが、公演の時を思い出し、抽象的にですが、何か思わず頷いてしまうところがあり、改めて森さんの音楽への解釈の深さ、愛の深さを感じました。
お声に関しましても、透明感はそのままに、深みが増してこられたように感じました。素敵に年令を重ねられていますね。
研ぎ澄まされたバッハ、チャーミングなこうもり、アージュちゃんへのアヴェマリア。。。
1曲々々が、耳にする宝物のように思えました。また、からたちの花は九州のお客さんにとって特にうれしいものだったと思います。(私は通勤で北原白秋の出身地柳川を通るのですが、次の日の朝は思わず「森麻季さんのからたちの花、素晴らしかったですよ!」と白秋先生に報告してしまいました(笑))
1月の佐世保と今回と、半年に1度は森さんの歌を聴けていて、とても幸せです。
九州に来ていただけるだけでありがたいです。
近いうちにまた、山岸さんと一緒にいらしてくださいね。心からお待ちしています。

よねぴぃ:

はじめまして。時々このブログにはお邪魔しています。「4つの最後の歌」の解説、とても興味深く読ませていただきました。私はこの曲が大好きでこれまで何度となく聴いてきました。人生の黄昏をこれほどまでに表現した曲はないのではと思っています。人生の終焉だけでなく、シュトラウス自身の終焉、ロマン派の終焉、爛熟したヨーロッパ文化の終焉などいろんな意味での終止符をこの曲は打っているような気がします。3曲目のもはや魂が鳴っているとしか思えないようなヴァイオリンのソロや、4曲目の冒頭の圧倒的なオーケストラの音の洪水の中から浮かび上がる夕映えなど古今稀に見る名曲だと思います。コンサート自体なかなかいけないのですが、いつか森さんの歌で「4つの最後の歌」を聴いてみたいですね。

カエサル:

 4日のオペラシティ、29日に続いて聴かせていただきました。
 最初のフォーレ。丁寧に丁寧に一音一語を確かめるように曲が進行していきます。同じフォーレのレクイエムを歌われた秋川キララホール(本当に、教会のようなトーンでしたよね)のときとは違い、麻季さんの歌唱も一聴すると簡素な響きに聞こえるですが、実はそうではなく、過度な響きが抑えられ、洗練された重厚さ、とでもいうのでしょうか、ストレスフリーに自然とこちらの気持ちの中に染み入ってくる思いがしました。
 秋川のフォーレも、オペラシティのフォーレも、どちらも素晴らしかった。
 マタイ。 実は、2月27日の麻季さんのモツレクの次の日に、同じドレスデン聖十字架合唱団&ドレスデンフィルでマタイを聴きました。そのときも「今日のマタイも麻季さんだったらな」と思いましが、4日のこの日、やっぱり麻季さんでマタイの全曲を聴きたいとの思いを再確認しました。余談ですが、そのときのドレスデンのマタイは良かった。本当に良かった。白状すると、前日のモツレクよりも少しだけ多く感動しました(麻季さんごめんなさい)。だから、なおさら、麻季さんのソプラノでマタイ全曲を聴きたい、と思うのです。
 Befreitは、実は初めて聴きました。しかも、麻季さんの事前の解説というか訳詞も見過ごしておりました。何たる不覚! 後で、麻季さんが書かれた訳詞を読み、自分をその状況に当てはめてしまい、また、それに麻季さんの歌唱の姿が重なって涙してしまいました。詩を読んで涙するなんて、以前の私ではなかったことですが・・・
 さて、4つの最後の歌。 麻季さんの一語に込められた深い思いを知ることができて、嬉しかった。そして、その最後の一節。アイヒェンドルフのこの最後の一節は、考えるほどに解釈に迷う内容ですよね。私は、この一節より、生の終わりに際しての諦観、安らぎ・・・いろんな感情を感じ取ります。でも、アイヒェンドルフがどのように思って書いたかはともかく、R.シュトラウスは、どう感じて曲をつけたのでしょうか?
 例の“Tod”の後、生の終焉に向けてゆっくりと、息継ぎをするかのように進行していく中で、ときおり頭をもたげるように最後の希望を逃すまいとする和音が、私には、感じられます。諦観の中の希望。自分も最後のときはそんな境地に置かれるのかなと思わせる生の終焉の情景ですが、そんな生の終焉にあって、R.シュトラウスは、ヒバリのトリルを設けました。情景描写の得意なR.シュトラウスですが、さすがに最晩年のこの曲には、単なる情景描写には留まらない何かをヒバリに託したのではないかと思います。
 天国への導きの象徴のようにも思えます。希望の現れのように思えます。それとも、人が生の終焉を迎えながらも、無垢な自然(ヒバリ)は、何事もなかったようにさえずり続ける・・・。そんな儚さを現したのでしょうか・・・
 代わってこうもり。R.シュトラウスも素晴らしいですが、麻季さんには、このJ.シュトラウスもお似合いです。きりりとしたギリシャ女性のような横顔。髪型をアップにしたのは、この曲のためでしょうか? 本当、お似合いです。
 コメントが長くなりました。この辺で、ペンを置きます。
 今月のレコーディング。楽しみですね。

まさ:

梅雨の雨模様が続いておりますが,いかがお過ごしでしょうか.
 
ロンドンのセント・ポール大聖堂で奏された素晴らしい聖歌のビデオがあります.ご覧下さい.
http://www.youtube.com/watch?v=bNcYbrTgscc
詩は,
http://www.pinetreeweb.com/bp-1941-services.htm
にある Westminster Abbey MEMORIAL SERVICE の初めの方 PSALM CXXI にあります.
 
The Lord shall preserve thee from all evil:
yea, it is even he that shall keep thy soul.
The Lord shall preserve thy going out, and thy coming in:
from this time forth for evermore.
 

松井千明:

紀尾井ホールに始まり、追加公演まで東京の3公演をすべて観させていただきました!山田耕作先生の「曼珠沙華」は初めて聴きましたが、森さんがブログで、大切な曲と書かれていたように、最後には大好きになりました。
思えば森さんを初めて観たのは、小澤征爾さん指揮のモーツァルトの「レクイエム」でした。それから、三鷹の風のホールやパルティノン多摩などあちこち観に行きました。最近は森さんもすっかり人気者になられ、いい席がだんだんとりずらくなり、うれしいような、悲しいような・・・。とにかく今年は沢山森さんを観る機会があるので幸せです。お体に気をつけて第九まで完走してください!

まさ:

さっそくですが,先の投稿に挙げた詩篇121篇の以下の2つの節,
The Lord shall preserve thee from all evil:
yea, it is even he that shall keep thy soul.
The Lord shall preserve thy going out, and thy coming in:
from this time forth for evermore.
は,ルターのドイツ語訳では,
Der Heer behüte dich vor allem Übel,
er behüte deine Seele.
Der Heer behüte deinen Ausgang und Eingang
von nun an bis in Ewigkeit!
となっています.
日本語の新共同訳では
"主がすべての災いを遠ざけて
 あなたを見守り
 あなたの魂を見守ってくださるように."
"あなたの出で立つのも帰るのも
 主が見守ってくださるように.
 今も,そしてとこしえに.”
となっています.
 
辞書によると,英語の evilは,悪,害悪という意味なのに対し,ドイツ語の Übelは,悪,害悪,禍(ワザワイ),災害,不幸さらには,病気や苦悩という意味があり,ルターの訳だと,
"主が,全ての災いからあなたを守り,
 あなたの魂を守って下さるように."
"主が,今よりとこしえに至るまで,
 あなたの出で立ちと帰りを 守って下さるように."
の如くなると思います.
原典まではあたれませんが,翻訳によって大分意味やニュアンスが違ってきますね.

麻季さんのなかで葛藤がおありのことと思います.
艱難は,人をそして信仰を成長させます.
私自身も信仰はまだまだ不十分ですが,麻季さんのブログにお邪魔させて頂き,また,お歌を聴かせて頂いて,沢山の恵みを頂いたことを感謝します.
焦らずに,ご自身の歩むべき道を見出していかれればと思います.

手短ではありますが,天候不順のおり,ご健康にはお気をつけ下さい.
お祈り致しております.

追伸:
 久しぶりにサイトにお邪魔しました.この投稿は,7/12 投稿したものと追伸を除いて全く同じです(ファイリングしてました).一度公開したものを再び非公開にする(削除する)と,元に戻せないのですね.Web担当者の方の記事で知りました.事情を知らずに色々と無理なことを申し上げ,麻季さんを苦しませてしまったことを心よりお詫びします.すみませんでした.
 所々行き違いがあったかと思いますが,本投稿を再掲して頂けましたら幸いです.
 
 御名に栄光のありますように.
 

まさ:

7/4オペラシティでのマタイ第58曲についてですが,出だしが少し弱かったのはログにも書かれているように,コントールして始められたせいかもしれません.リヒターの1958年版は,ご存じのようにマタイの不朽の名盤と言われているものです. マタイ受難曲は,バッハの最高傑作,中には西洋音楽の最高峰とする人も少なからずいます.某盤は,全編に緊迫感がみなぎり,私もこれほどのものは他に類をみないと思います.それとあえて比較したのは,今回の録音のご参考になればと思ったからです.7/4のリサイタルについて申し上げたことは,"玉に傷"というより"玉にわずかのくもり"程度で,私は全体的に十分良かったと思います.麻季さんがこれまでこの曲にかけて来られたものもよく伝わりました.録音は自信をもって臨まれたらよいと思います.

追伸:
 この投稿も7/12に投稿した後,削除になったものと全く同じです.宜しければ,再掲をお願いします.

sen555:

59歳団塊世代男性です。NHKのある番組で森さんのサウンドオブミュージックを聴きました。澄んだ高音域、英語の発音、フィーリング等、日本でもこんな素晴らしい歌手がいるのだなとうっとりして聴いておりました。また、ルックスもクラッシク歌手には珍しいモデルさんのようなプロポーションですね。

コメントを投稿

注:いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。
承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。

Copyright © Maki Mori

Design and Developer by
SHAFT K.K.